COLUMN / 生産管理
30人規模の製造業に、1,000万円の生産管理システムは本当に必要か
2026-09-03|Anchor Next Partners 加藤 拓海
展示会や営業の紹介で生産管理システムの提案を受け、「うちもそろそろ入れるべきか」と迷っている。そんなご相談を、山形の製造業の方からよくいただきます。
先にお伝えしたいのは、システムが悪いという話ではない、ということです。合う会社には大きな力になります。ただ、私が実際に現場を見てきた範囲では、導入の前に確かめるべきことを飛ばしたまま、金額の大きな決断だけが先に来ているケースが少なくありません。
この記事では、導入を決める前に社内で確かめたい5つの項目を紹介します。紙とペンがあれば今日できます。
先に結論
管理のやり方がまだ固まっていない段階で導入すると、システムに合わせて仕事を組み替える作業が現場の負担になり、高い買い物が「使われない画面」になりがちです。
まず今のやり方を紙に書き出して、Excelやスプレッドシートの改善で足りるかを確かめてからでも、遅くはありません。
確かめたい5つの項目
1. 「管理したい情報」を紙に書き出せるか
受注、図面、材料、工程、進み具合、出荷、請求。自社が毎日追いかけている情報を、A4一枚に書き出してみてください。ここで手が止まる場合、システムを入れても設定の段階で同じ壁に当たります。逆に書き出せるなら、その一枚が改善の設計図になります。
2. 同じ数字を何回入力しているか
受注をノートに書き、ホワイトボードに書き、Excelに打ち、請求書にまた打つ。この「写し替えの回数」を数えてみてください。写す回数が多いほど、時間だけでなく写し間違いの入り口も増えます。写し替えが3回以上あるなら、システム以前に「入力を一度だけにする」工夫で大きく変わります。
3. 現場が毎日見ている「画面」はどこか
ホワイトボードなのか、壁の紙なのか、朝礼の口頭なのか。現場に情報が届く場所が分かると、そこを置き換えるだけで済むことがあります。実際、手書きのホワイトボードを共有ディスプレイに置き換えただけで、毎朝30分かかっていた指示書きがなくなった工場もあります(年間に直すと約120時間です)。
4. 「その帳票、誰が読んでいますか」
毎日作っている日報や集計表の中に、実は誰も読んでいないものが混ざっていることがあります。システム化の対象を数える前に、やめられる帳票を先に消す方が安上がりです。
5. 月々いくらまでなら回収できるか
3万円 ÷ 5% = 月60万円 の受注上積みが必要です。
逆に、手作業の削減で月3万円を浮かせれば、それは原価のかからない利益です。
1,000万円クラスの投資なら、保守費も含めて「月々いくらの削減や売上につながれば元が取れるか」を先に計算しておくと、営業提案を受けたときの判断軸になります。※上の数字は前提を置いた例算です。
Excel改善で足りるケース、システムが要るケース
- Excelやスプレッドシートの改善で足りることが多い=拠点が1つ/扱う品目・工程が頭に入る規模/困りごとの中心が「写し替え」「集計の遅さ」「属人化」
- システムを検討する価値がある=複数拠点でリアルタイムに在庫を共有したい/ロット追跡が取引先の要求になっている/取引先とのデータ連携(EDIなど)が必須
30人規模なら前者に当てはまる会社がかなり多い、というのが私の実感です。まず小さく直して、それでも足りない部分が見えたときにシステムを選ぶ。この順番なら、選定の目も肥えた状態で商談に臨めます。
おわりに
5つの項目は、そのまま「自社の管理の現在地」を知るチェックリストです。書き出した一枚を眺めるだけでも、次の一手はかなり見えてきます。
もし「書き出してみたが、どこから手を付けるべきか決めきれない」となったら、そこから先は一緒に整理できます。
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